先日行われた国連の昼食会に集まった各国の大統領や首相たちに、よりによってゴミから作った料理を出したことが話題になっています。
日頃は贅沢なご馳走を食べているVIPたちがこのランチで食べたのは、本来ゴミ箱に捨てられるはずの野菜類の絞りかすを原料とするベジタブルバーガーや、飼料やバイオ燃料用のトウモロコシで作ったフライなど..
しかも、この料理をつくったのはアメリカで超一流シェフとして有名なダン・バーバー氏とあれば、相当深い理由と意図があるはずです。
超一流シェフがゴミを使って調理したベジタブルバーガーが各国の首脳にふるまわれた意図とは?
国を代表して集まった指導者たちにゴミは食べさせるとはけしからん!と言う前に(笑)に、まずは下のニュースを読んでみてください。
国連の昼食会合で「ごみ」提供、食べものの無駄訴え-Yahoo!ニュース【AFP=時事】高級料理に慣れている世界の指導者たちは27日、国連本部での昼食で驚くべき料理を提供された──ごみだ。世界の首脳らはこの日、仏パリ(Paris)で12月に開催が予定されている国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate Change、UNFCCC)の第21回締約国会議(COP21)に向けた話し合いを行っていた。
昼食を担当した料理人たちは、現代人の食生活にみられる多大なる無駄が、世界的な気候変動に影響を与えていることの再確認につながることを願い、本来なら廃棄処分されるはずだった材料のみを使って料理を完成させた。
国連本部で提供されたのは、野菜類の絞りかすを原料とするベジタブルバーガーなど。果汁などを抽出する調理法では通常、果肉の大部分が無駄になってしまう。
バーガーに添えられたのは、でんぷん状のトウモロコシから作られた「コーンフライ」だ。米国には、計約3600万ヘクタールのトウモロコシ畑があり、収穫物の大半は、動物の飼料やバイオ燃料として使用されている…
[つづきは下記のリンクからどうぞ]
実際に出された料理は、関係者のツイッターに写真とコメントが載っています。
国連スポークスマンによるツイート
Landfill salad? Eco-friendly menu at high-level working lunch on climate change included dishes made from food waste pic.twitter.com/zSJZF6iG8i
— UN Spokesperson (@UN_Spokesperson) 2015, 9月 27
翻訳をすると、
「埋め立てサラダ?気候変動に関するハイレベルな昼食会の環境にやさしい料理は、食品廃棄物のみで作られています」
昼食会ではパン・ギムン国連事務総長をはじめフランスのオランド大統領やペルーのオジャンタ・ウマラ大統領などが、この廃棄物から作ったバーガーを召し上がったようです。確認はとれていませんが、安倍総理も召し上がったらしいとの話もあります。
このバーガーの詳細な画像がこちらです。
なるほど、見たところとても美味しそうなベジバーガーで廃棄物から作られているなんて思えませんよね!
実はそれも当然のことで、このバーガーを考案したのがダン・バーバー氏という超有名なニューヨークのシェフと、ホワイトハウスでオバマ大統領の元でシェフ+栄養政策のアドバイザーをしていたサム・カス氏なんです。
(N.Yにあるレストラン「ブルーヒル」オーナー兼シェフのダン・バーバー氏)
今回の料理を企画した両氏とも真剣に地球環境の悪化と、飽食の裏側にある途上国の貧困、飢餓を憂慮している。
バーバー氏いわく、
「典型的なアメリカ料理だが考え方を変えてみた。ビーフではなく、牛の餌となるトウモロコシを食べるんだ」と述べ、「通常なら捨ててしまうものから、本当においしいものを作り出すことへの挑戦だ」
(ホワイトハウスで大統領のシェフをしていたサム・カス氏)
ウィキペディアでサム・カスを参照する
ウィキペディアを見るとサム・カス氏の華々しい経歴の中に興味深いことが書いてあって、アメリカの高脂肪な学校給食を否定して関係者から批判されたり、持続可能な有機農業や非遺伝子組換えの作物を推奨することで、農薬と化学肥料による農業を行っている大企業から批判されたりと、政府に近いポジションにありながら、わりと反体制的な立場にあることでも有名です。
例えばサム・カス氏の指導によってホワイトハウス内では50種類以上の有機作物を栽培して大統領の食べ物はオーガニックにこだわっているようです。
というわけで、最後に日本と世界の食べ物廃棄の現状をまとめてみました。
日本と世界の食べ物廃棄の驚くべき現状とは
先進国と呼ばれる国が尋常ないレベルで食べ物を無駄にしているということは、うっすらと話を見聞きしていましたが..実際に調べてまとめてみると、ビックリを通りこして腰を抜かすほどバチ当たりなことを僕らはしているようです。
食料廃棄問題のまとめ
・世界全体で生産された食料の約3分の1、量にして年約13億tが捨てられている
・日本で1日に捨てられる賞味期限切れなどの食料は約3000万食
・世界で1日に餓死する人数は約4万人、その約7割が子供
・世界で1年間に餓死する人数は約1500万人
・日本が捨てている食料だけで年間5000万人が生きていける計算
・捨てられている食料で餓死する人のほとんどが救われる計算
・日本の家庭からでる食料廃棄の総額は年間で約11兆円
・捨てられている食料の圧倒的多数が先進工業諸国である
・食料ロスの低減は世界全体の大きなテーマである
▼参考にした農林水産省が公表している資料
平成26年度 食品ロス統計調査・世帯調査
平成24年度 食品廃棄物の利用状況等
▼FAO-国連食糧農業機関世界による資料
世界の食品ロスと食料廃棄(ドイツで開催された国際会議用の資料)
食料ロスと食料廃棄削減に向けた地球規模の取り組み
この昼食会で国連事務総長のパン・ギムン氏が食べ物廃棄の現状に対して「これほど多くの人々が飢餓に苦しんでいるとき、それは恥ずべきである」と発言したようです。
2015年9月28日のABCニュース「World leaders given ‘trash’ to eat at United Nations to highlight food wastage」
僕(@ka__zz)的あとがき
ダイエットやメタボ改善のためジムに通って汗を流す人がいる一方で、7秒に1人の子供が餓死をしている..この事実から僕たちはどうすればいいのか?
それについての答えを求めることは、飽食の国に生きている僕ら一人ひとりに課せられているテーマではないか思う。僕自身も若いころファストフードやコンビニでバイトをしていて、何も考えずに毎日のようにゴミ箱に食べ物を捨てていた。
大人になって経験を積んできた最近でもパーティケータリングという仕事で、パーティが終わって片付けた後に、疑問に思いながらも山のように残された食べ物をゴミとして捨てることを毎日していた。
かと思えば、食べきれなかった料理を残さずパッキングをして持ち帰ってくれるお客さんたちもいる。つまりは、飢える心配がなく(将来はわからないが)食べ物をどう扱うか自由な世の中で、無駄なく廃棄することなく、そしてお腹に贅肉を蓄えることなく(笑)暮らすかどうかは個人の考え方次第になってくる。
幸いにも僕たちの国には「もったいない」という言葉がある。
僕としては、できる限りもったいない生き方を選んでいきたい。
合わせて読んでおこう
▼僕たちにできることとは?
それでは皆さん、よい一日を!
Have a good day!