イギリスのグローバル情報マガジン「MONOCLE」(2016年6月発売)によれば、「世界で最も住みやすい25の都市」が発表されました。1位は東京、2位がベルリン、3位がウィーン・・コペンハーゲン、ミュンヘン、 メルボルンとつづき7位に福岡市がランクインしたそうです。
治安や医療・交通機関・教育制度・ビジネス環境などの都市にとっての必須機能から、海や山などフィールドへのアクセス、飲食店の相場からバーの閉店時間まで、徹底した生活目線から評価された結果です。
短い滞在ながら仕事や旅で福岡へやって来ると、世界7位という順位に納得してしまう居心地の良さが確かにあるわけです。データに基づいたランキングも有りなんですが、福岡の良さというのは情緒的な心地よさだと個人的には感じています。
その感覚がどこから来るのかというと、街を構成する新しさの刺激と古い懐かしさのほどよいバランス。そして地元の人々が僕たちのような観光客(よそもの)を、すっと受け入れてくれるニュートラル感なんだと思っています。
今回紹介させていただく「& AND HOSTEL」は、まさにそんな居心地の良い空気感に満ちている中洲川端のアーケードの中にあります。
福岡でディープな情報を求めるなら地元民とコミュニケーションあるのみ。
博多リバレイン、博多座からキャナルシティまでをつなぐ400mの川端商店街には、100店舗ほどのお店が軒を連れねており、風情溢れる”浅草のすしや通り”を思い出させてくれる趣がありました。
シャッターが下りているお店は定休日以外でほとんど無く、街の経済が活発であることがすぐにわかります。データにもどると福岡市の人口増加率は全国で1位だそうで、人を惹きつける強い引力が福岡には あるのだと思います。
1階がカフェ&BARで2~4階がゲストルームというオーソドックスな造りですが、センスの良いシンプル なデザインワークは細部にまで行き届いており、オトナ感覚で気持ちよく滞在することが出来ます。そして、ガイドブックには載っていない非スポンサードな情報が、ホステルに集まっているという法則 はどの街でも共通で、スタッフさんと少し話をするだけで街のリアルなニュースやトピックを手にいれ ることができます。
非現実性とリアリティ、時にはスリルのような、その街の深みに足を踏み入れることで満足を得るとい う性癖が僕にはありまして、安全と快適性につまらなさを感じる身としては、リアルな情報こそが宝探 しであり心を満たしてくれるのです。
今回ホステルのスタッフさんから手に入れたホットな情報は後ほど書くとして・・
その前に、& AND HOSTELのポイントを話させてもらうと博多川沿いに建つ雑居ビルという特性から、 運が良いとベッド脇にある窓から開放的な景色を眺めることができます。それがルーム302のA or Bというベッドで、この記事を読んで宿泊を決めた人はぜひともリクエストしてください。
水辺好きな人ならばこのスペースからから離れたく無くなり、街の喧騒をBGMに一日中このベッドで好きな本を読んで過ごす・・そんな過ごし方も出来るはずです。
さて、今回手に入れたお宝的情報は、福岡市内でわずかしか残っていない銭湯「鶴亀湯」です。創業から90 年、福岡にまだ路面電車が走っているころから営業していた老舗です。
絵に描いたような昭和風情の番台には、宮崎駿監督のアニメ映画に出てきそうなおばあちゃんが居りまして、浴室の壁には見事なまでの富士山と鶴と亀が描かれているのでした。単なるノスタルジックでは ない心に染み入る深みを味わえるでしょう。
中洲川端に来れば、必然的に夜の街に繰り出すのは運命というもの。
そんな言い訳をしながらフラ フラ散策していると、数年前と大きく変わっていることにすぐ気づきます。それが外国人観光客の多さで、中洲の名物屋台にも東アジアからやってきた人々が溢れておりました。
それはそれで面白い光景なんですが、ガイドブックやWEBのポータル&まとめサイトに載っている屋台では、もれなく外国語が飛び交っています。
それと同じ現象が、湯布院や黒川などメジャーな温泉でも起きていまして、熊本の秘湯と言われる温泉宿のご主人から以前「温泉に静けさを求めるなら大型バスが入ってこれない山奥まで行きなさい」と聞かされたこと思い出しました。
そんなことからも、古き良き日本の風情を求める場合は、なおのこと情報が重要になってきまして、それはメジャーなメディアからは決して手に入れることは出来きないのが実際のところです。旅先に着いてまずやることはホステル、居酒屋、カフェなどコミュニティが作られているスポットで地元の人たちと コミュニケーションを取ること。
少しだけ懐に入れたら、こちらのニーズを話してディープな旅を楽しむための情報をいただくという流れ。あとはリュックを背負ってとにかくそこへ行ってみる。
あとは体験あるのみです。
& AND HOSTELのすぐそばにあ櫛田神社。およそ1300年もの間、この街の変化を見届けてきている博多の総鎮守です。驚いたことがありまして境内には英語、中国語、韓国語、台湾語のおみくじがありま した。
僕たちが生きる激動の21世紀。
新興国の発展とLCCの発達によって世界中から人々が大挙してやってくる人類大移動の時代、大挙して押しかけてくる異文化の旅人たちを、博多の神々たちは両手を広げて歓迎しているのでした。
& AND HOSTELのアクセス
場所:福岡県福岡市博多区上川端町10-5
電話:092-273-0770
公式ページ:https://andhostel.jp/
facebook:https://www.facebook.com/andhostel/
instagram:https://www.instagram.com/and_hostel/